友達以上恋人未満の片想い

「わかってる。…だけど、やっぱり忘れられないんだ。あんなに真っ直ぐな子初めてだったから」


「おまえの都合なんて関係ない。自分勝手すぎんだよ。実里の気持ちに応えなくて正解だったって言ってただろ。幼なじみに同情して付き合って、結局実里が忘れられないから実里がほしいって?ふざけんな!」


「…遼!?」



先輩の胸ぐらを掴んで立ち上がると、戻ってきた実里が慌てて止めてきた。



「実里の彼氏は、俺だ!」



周りの客が驚いたように見てきたけど、そんなの構わなかった。



「…あの、先輩」



俺の腕を掴んでいた実里の手に、ぐっと力が込められた。



「前は先輩のことが好きでした。でも今私が好きなのは遼です」



ハッと実里を見下ろすと、実里は真っ直ぐ先輩を見上げていた。



「今日はもう帰りますね。誘ってくれてありがとうございました」



二人分の鞄を持った実里に「行こ」と手を引かれ、店を出る。



黙って歩き続ける実里の手を軽く引いて立ち止まる。



「…ごめん」



きっと実里はなんでもなかったかのように明るく笑うだろう。