「私ね、バレンタインの日に安堂くんに告白しようと思うんだ」



二月に入ったある日のことだった。


小春ちゃんの隣で花壇の花を眺めていると、じょうろで水をあげていた小春ちゃんが顔を上げて決意したようにそう言ってきた。



「…え?告白…?」


「うん。最近安堂くんと仲良い女の子がいるみたいで…誰かに取られちゃうくらいなら、ちゃんと気持ち伝えたいなと思って」


「ああ、そうなんだ…」



本当は嫌だった。


もし小春ちゃんが告白をして安堂と付き合うことになったら、俺の気持ちは消えてしまうから。



「頑張ってね…」


「うん」



だけどただの友達の俺には、応援の言葉しかかけられなかった。





「どうしよう芦屋ぁー。小春ちゃんがバレンタインに安堂に告白しちゃうよぉー」


「…は?」



自席でスマホをいじっていた芦屋の机に突っ伏すと、嫌そうな顔で見下ろされた。