「芦屋ー!頑張れよー!」



大声で声援を送ってくる五十嵐を睨みながら、整列する。


五十嵐の隣には実里と星野の姿もあった。


うちのクラスで勝ち進んでいるのは男子バスケだけで、クラスメイトがほぼ全員応援に来ているみたいだ。



ホイッスルが試合開始を知らせた。



ボーと突っ立っているだけでバスケ部の三人が次々と得点を決めてくれて、十点差をつけて勝利した。


これで俺たちは決勝まで勝ち進んだことになる。



「芦屋お疲れー。でもおまえ、何もしてなかったな!」



五十嵐が笑いながら肩を叩いてきて、適当に相槌を返す。



「遼、おつかれ。決勝は三十分後だっけ?」


「ああ」


「ねえ聞いた!?次決勝高一Cと高二Dだって!」


「え、高二Dって江戸川先輩いるとこじゃん!絶対見に行こっと」



後ろを通り過ぎていった女子二人組に、実里が気にしないようにしながらも耳を澄ませていることがわかった。



「…次、江戸川先輩んとこのクラスとだって」