「って、こんなこと話してごめんね。どうでもいいよね」


「そんなことないよ。…友達なんだから、いつでも相談して」



自分で言っていて傷つく。


俺はまだ小春ちゃんの友達でしかないんだから。





「ねえ岩崎さん。小春ちゃんは?」



今日の練習はここまでとなり、小春ちゃんを誘って一緒に帰ろうと思っていたのに一時間前に別れたきり会っていない。



「え、小春?あれおかしいな。さっきまで一緒にいたんだけど…」


「俺、ちょっと探してくる」



もしかしてまた安堂と一緒に帰ってしまったのだろうか。


そうだとしたらもうどうしようもない。ただの友達の俺が邪魔なんてできない。



「…あ、五十嵐?さっきそこで星野さんと会ったけど、おまえと待ち合わせてるんじゃないのか?」



廊下を走っていると、向こう側から来た芦屋が不思議そうに首を傾げてきた。



「え、小春ちゃん見たの?」


「ああ、なんか呼ばれたから中庭行くって言って…」


「呼ばれた?わかった、ありがと」