「うん、今交代したところ。…小春ちゃんは何してるの?」



小春ちゃんは悪いことがバレたみたいな顔で目を泳がせてから、「ううん、何も」と笑った。


…もしかしたら、グラウンドで練習をしていた安堂が来るかもと思って待ち構えていたのかもしれない。



「あ、タオル使う?まだ一度も使ってないから綺麗だよ」


「あ、助かる。ありがと」



気づかないフリをして小春ちゃんからタオルを受け取る。



「そういえばね、この前の放課後安堂くんと一緒に帰れたんだ…」


「…え?」



水道水を頭にぶっかけてから小春ちゃんのタオルで拭いていると、そんな告白をされた。


てか、いつの間に。安堂となるべく二人きりにさせたくなくて、放課後は偶然を装って小春ちゃんと一緒に帰っていたというのに。



…あ、あれか。一度だけ小春ちゃんの委員会があった日があり、その日はバイトがあったからすぐ帰った日があった。


よりによってその日に一緒に帰ったのか。



「そ、っか…よかったじゃん」


「うん。最近毎日メールのやり取りも続いてるんだ」



俺の知らないところでどんどん小春ちゃんが安堂と仲良くなっていくのが嫌だった。


でも可愛く笑う小春ちゃんに、そんなこと言えるわけもなく俺も笑顔を浮かべる。