戻った時には実里が大学生らしき男二人組に絡まれていた。


しまった。一人にさせとくべきじゃなかった。



「あの、こいつ俺の彼女なんですけど」


「…ちっ。なんだよ彼氏持ちかよ」



男二人組は睨みつける俺にたじろぐと、そそくさと帰っていった。



「悪い、一人にして」


「あ、ううん、大丈夫だよ。どこ行ってたの?」


「足、怪我してるんだろ」



実里が驚いたように目を見開いた。


そして右靴を脱ぐと、やはりかかとの皮がめくれて血が滲んでいた。



「…よく、わかったね」


「俺を誰だと思ってる」



実里のかかとに絆創膏を貼ってあげていると、照れを隠すようにいきなり実里があははと作り笑いをした。



「新しい靴だったから靴擦れしちゃってさ。本当は痛くて痛くて泣きそうだったんだけど、言い出せるタイミングがなくて」


「俺にくらいは言えよ。…彼氏なんだから」



実里がぴたりと笑うのをやめた。