チョコレートは苦く溶ける




「…」



若干溶け切らないまま固まらせた気もするが、味は悪くはない。…まあよしとしよう。



俺の無言の肯定を感じ取った莉子は、途端にぱあっと華やいだ表情をする。



「よかった!!これで伊織くんに渡せる!!」


一番形のいいものを選んで包み始める彼女。


不器用なりに頑張ってラッピングしているその姿を見て、ふっと笑みがこぼれる。


「はいこれ、葵のぶん」