「次家賃滞納したら出て行け、ってあたしこの前言ったわよね!?」

「はいぃー…、分かってます…! でも……っ」

「今日業者呼びましたから! あとで部屋にある荷物全部外に出しますからね!」

「そっ、そんなぁあああ……」

冷蔵庫とか家電なら好きなように出してもらっていいけど……、キセキ様のグッズだけは1ミリ足りとも触られたくない……!

ぁああああ!どうすればぁあああ……!

「こいつ、家賃どれだけ滞納してますか」

え?

ふいにキセキ様がご自身の財布に手を伸ばし、大家さんに尋ねた。

「え? えっと……、1年5ヶ月よ」

「はぁ……っ、お前ってやつは…」

キセキ様が特大のため息を吐き出す。

かと思ったら財布からメモ帳みたいに分厚い札束を取り出して大家さんに渡した。

「それで足りますか」

「え……いやっ、足りるも何も……多すぎるぐらいよ…っ」

困ったように札束を眺める大家さんにキセキ様が優しくフワッ、と微笑んだ。

「じゃあ、それで、しばらくはこいつ置いてやって下さい」

「えっ!?きっ、キセキ様……っ、それは悪いです…っ」

この札束…!パッと見500万ぐらいはある……!

推しに貢がせるなんて言語道断…!

慌ててキセキ様の前に立ち、意味もなく手を広げた。

「その歳でホームレスは嫌だろ?」

「うっ……」