ウソから出たマコト~ニセモノの愛から生まれたホンモノの恋~

だが


「本来なら、そうかもしれないけど、所詮はニセのことだし。それに、菱見さんのご両親と違って、ウチの両親は僕のことなんて、昔からほったらかしだから、多分報告しても『フーン』で終わると思う。だから、もしも必要な時は来てもらうことになるかもしれないけど、その心配は多分ないよ。」


大城の答えはあっさりとしたものだった。


「そうなの?それならいいけど・・・でももし必要なら、その時は、ちゃんと言ってね。


「OK、ありがとう。」


尚も心配そうな表情の凪咲を安心させるように笑顔を浮かべた大城は


「じゃ、これ片付けてから出掛けるよ。」


と言いながら立ち上がった大城に


「ううん、このくらい大丈夫だから、それより大城くんは急いで戻ってよ。」


凪咲が首を振ると


「じゃ、悪いけどお言葉に甘えるよ。それじゃ、行って来る。多分、今晩はそのまま向こうに泊まると思うから。」


大城は言った。


「わかった。じゃ今、鍵を渡しちゃうね。私も明日は出掛ける予定があるから、君が帰って来た時にいなくて、大城くんが家に入れなかったら、困るだろうし。」


「そうだね。それじゃ、同居の間、確かにお預かりします。」


凪咲から、ルームキ-を大事そうに受け取ってから、出かけて行った大城が戻って来たのは、結局翌日の夜10時を過ぎていた。凪咲は出迎えには出なかったが


「菱見さん、ただいま。」


大城は彼女の部屋のドア越しに声を掛けて来た。


「お帰り、お疲れ様。ごめんね、もうパジャマになっちゃったから。」


と扉を開かずに答えた凪咲に


「大丈夫だよ。」


大城は優しい口調で答える。


「どう、片付いた?」


「だいたいね。」


「なら、よかった。大城くん、お風呂入るよね?」


「うん、シャワーは浴びたい。」


「浴室は昨日説明した通りだから。私はもう入っちゃったし、遠慮しないで、ゆっくり入ってね。」


「ありがとう。じゃ、入ってそのまま、寝ちゃうから。」


「うん、わかった。じゃ、おやすみ。」


「おやすみ。」


こうして、ドア越しのまま、会話を終え、大城の気配が遠ざかって行くの感じた凪咲は、ホッと1つ息をついた。同居開始から2日、結局大城がほとんど家にいなかったこともあり、特に問題は起こらなかったが


(このまま、上手くやって行ければいいけど・・・。)


そんなことを思いながら、凪咲はベッドに入った。