通常通りの授業に戻った。
体育の時間のバレーボールの試合中、
恵麻と美貴、梨花は3人、見学中に話をしていた。

「ねぇ、2人はどこまで行ったの?」
恵麻はぐいっと梨花に迫って聞く。

「へ?どこまでってなんの話?」
梨花はびっくりした顔をして、返事する。

「だから、先週だってデート行ったんでしょう。
 猫カフェとか。」

「あー、うん。そうだけど。
 ただ、猫と戯れただけだし。」

「あー、朔斗くんと戯れたかったってこと?」

美貴は梨花の顔をじーと見つめる。
梨花は、頬を赤くさせた。

「そ、そんなつもりはないよ。
 猫と絡みました。しっかりと。」

「え、え。そんなに朔斗くんと絡みたかったって?」

「美貴ー、やめてよ。そうやってしずるのは。」

梨花は、美貴にぐーと手で押して拒絶した。
恵麻はなんだか嬉しそうな顔でニヤニヤと見ている。

「もういいじゃん。
 好きって言われなくてもしっかりデート連れてって
 くれるんだから。認めてあげたら?」

「えー、好きって言われないまま
 付き合うってありなの?」

「態度でわかるでしょう。
 言わなくてもさ。
 優しくしてくれるとかあるじゃん。」
 
 美貴は経験者だからか、アドバイスをする。
 恵麻は、年上彼氏のため、そんなこと小さいよって
 憤慨する。

「てかさ、もう、好き以上のことしちゃうと、
 言う言わないレベルじゃないわけ。
 するかしないかとかだよ。
 そして、マンネリ化とか、倦怠期とか嫌な空気とか
 恋愛ってそういうのたくさんあるから。
 小さすぎだよ、梨花の悩みは。」

「するか、しない?
 えー、だって、そこまでのレベルじゃないし、
 そもそも幼馴染から始まってるからどう始めれば
 いいかなんてわからないよ。
 良いよねぇ、経験してる2人はさ。」

「何々、嫉妬?
 彼氏いるから羨ましいって思ってる?
 彼氏いるからって幸せじゃないんだよ、梨花。
 幸せをどう感じるかが問題よ!!」

「確かにそれあるね。
 彼氏いても常に幸せなわけじゃない。
 連絡が来るとか来ないとかの心配もあるし、
 浮気してたらとか…。
 そうよ、これからだよ梨花。」

「……そうなんだ。勉強になるよ。」

「そこ!!大きな声で恋バナしない!!」

 体育の菊地先生にホイッスルを鳴らされて、
 怒られた。
 3人は恥ずかしくなって、小さくなった。

 隣のスペースでバスケをしていた男子たちは、
 その様子に面白がっていた。
 注意を受けている中に梨花がいるとは
 想像もしない朔斗はバスケットゴールに
 何度もボールをシュートしていたが、
 なかなか入っていなかった。