朔斗は、梨花を連れてとある場所に来ていた。

「きゃぁ、可愛い!!」

猫がたくさん集まる猫カフェだ。
ミャーゴというペットを飼っていながらにして
猫カフェに連れてくる。
なんとミャーゴを留守番で、
猫の浮気者だと感じてしまう梨花。
それでもたくさんの種類の猫がいて、
興奮冷めなかった。

「なになにこれ。
 可愛すぎ。これ確か、マンチカンだよね。
 こっちはアメリカンショートヘア。
 可愛すぎぃ。」

(そんな君はもっと可愛い。)

 朔斗の脳内はキラキラビジョンの梨花が
 映し出されていた。
 首をブンブン振って切り替える。
 猫と戯れる梨花はニコニコしていて可愛かった。
 朔斗は頬を赤らめながら、
 スタッフから渡されていた猫ちゃん用おやつを
 手に猫をおびき寄せていた。

「ちょっと、ずるい。
 私もやりたい。それ貸して。」

 キャンディのようなスティックにおやつが
 ついていた。梨花が欲しがっていたため、
 朔斗はすぐに譲った。

 子猫が次々と梨花の持つおやつに目掛けて、
 やってくる。ペロペロとなめている。

「超、可愛い!!」

スマホ片手に何度も写真を撮っていた。

「本当に猫、好きなんだな。」

「…うん。そうだよ。
 ミャーゴも好きだし。」

好きという言葉にどきっとする朔斗は、
梨花と反対方向にいる猫の頭をなでなでしていた。
自分に言われてる気がしていた。

「朔斗、なんでここ来たの?
可愛いミャーゴ飼ってるのに。」

「ん、ただ、なんとなく。
 オープンしたって書いてたから。」

「ふーん。」

 1人で来るのは雰囲気的に恥ずかしいってことなん
だろうと察知する梨花。
ニヤニヤと笑いながら、朔斗を見る。

「ありがとう。連れてきてくれて。」

「お、おう。」


朝のイライラのことはすっかり忘れていたようで
満足そうな梨花を見て、朔斗は笑顔がこぼれた。
頬を少し赤らめる。



人を楽しませるという思いがあるんだなと
朔斗の考えに惚れ直した瞬間だった。


好きとはっきり言われていない梨花だったが、
この気持ちは、大事にしておこうと感じた。

猫じゃらしで他の種類の猫とも遊んでたっぷりと猫カフェを満喫していた。

帰ってからのミャーゴの嗅覚は半端なかった。

どこの輩の猫に会ってきたんだと、
朔斗は顔をひっかかれた。


人間並みに嫉妬心が強い猫だなと感じた朔斗だった。