テスト終わった週末。
梨花は、特に意識もせず、いつも通りの朝を迎えた。

のんびり、朝寝をして、
目覚まし時計をセットすることもなく、
猫のように背伸びをしてカーテンを開ける。

テストが終わった後の休日はなんて清々しいんだろうと、パジャマ姿のまま外を見ると、朔斗が想像以上にこちらを睨んでいた。
見てみぬふりをして、横目にカーテンを閉めようと
する。

「おい!!!」

ビクンと体が震える。
自分は怒られているのだろうか。
梨花はドキドキしながら、朔斗のいる部屋を覗く。

「いつまで寝てんだよ!?」

「…え?だって今日は休み…。」

「出かけるって言っただろ?!」

「え、うそ。あれ、本当だったの?」

「本当に決まってるだろ。
 早く出かける準備しろよ。」

 朔斗は相当早起きしたようで、
 イライラが増している。
 朔斗の腕の中にはミャーゴがいる。

「はいはいはい。今、準備します!!」

舌をぺろっと出して、梨花は慌てて、
パジャマから私服に着替えた。
デートの誘いだろうか朔斗に泥棒のように捕まってしまうのかなんだかよくわからないまま、準備をする。
そんなに怒らなくてもいいのにと
モヤモヤした気持ちになる。

玄関の外、靴ひもをしっかりと結んで、朝ごはんも食べずに身支度を終えた。
母には隣の朔斗と出かけてくるだけ伝えた。


「お待たせ。」

「遅い!!!行くぞ。」

まだイライラしている。
一体どこへ連れて行こうというのか。

朔斗はずっとイライラしたまま、梨花は着いていく。



◇◇◇

「ねぇ、朔斗。なんでそんなイライラしているの?」

「そういうお年頃だ。」

「反抗期?」

「しらねぇ。」

 よくわからない会話が続いて、
 そのまま沈黙の時間が流れる。
 これが、デートだとしたら、
 ものすごくつまらない。
 せっかく一緒に過ごせるのにと
 梨花は、ため息をつく。

「そんなイライラしているなら、私帰るね。」

「……帰らなくていい。」

「え。」

「イライラしてごめん。
 いいから、着いてきて。」

「あ。うん。わかった。」

 喧嘩するつもりじゃなかった。
 お互いに。でも、言い合いになった。
 どうして、一緒に出かけるだけなのに
 こんなふうになっちゃうんだろうと後悔した。
 ずっと笑顔で過ごすって難しい。

 梨花は、さっきの行動に反省をして、
 朔斗の横を黙ってついていくことにした。