また夜が明けた。
今日は最終日。
今日で、誰がこのゲームの支配者となるのかが決まる。
緊張で早く目が覚めてしまう。まだ日は登っていない。
どうやらそれは他の参加者も同じだったようで、皆起きたみたいだ。
隣からは生活音が少し聞こえる。
寝不足でこのゲームに失敗してしまったら嫌なので眠れなくても布団の中で軽く目を瞑る。
しばらくすると男の声がアナウンスで聞こえた。
今日は毒味ゲームはなかった。どれも美味しいものだった。
まあほとんど味などしなかったが。
しばらく部屋で待機することになり、俺はベッドに軽く横になった。
すると、銃声音が部屋中に鳴り響いた。
男が打ったのだろうか。
部屋のドアの隙間からちらりと顔を覗かせる。
するとそこには22口径の銃を持った参加者の女子高生と男のボディーガードが斃れていた。
頭から血を流しているあたり、脳天を突かれたのだろう。
しばらくして女子高生が笑い始めた。
なんとも悍ましい光景だった。
確かあの制服は偏差値70の天野宮高校の生徒だったはず。
ゲームでも至って普通の女子高生だった。
なぜそんな人が…
そして彼女はこう叫んだ。
「私がやってやったんだ!
私は!このゲームを!終わらせたんだ!」
狂気的だ。
思春期の繊細な精神にはこのゲームはまだ早すぎたのだろう。彼女の心はもうボロボロだ。
おそらく幻覚が見えているのだろう。
俺はそっと見ないふりをして部屋に戻った。
しばらくしてまた集合の合図がかかった。
最後のゲームの説明をされるらしい。
男がまるで軽快な口調で話し始める。
「最後のゲームは…」
「カードゲームです!!!!」
は?
「このカードを引く。それだけです。」
そんな簡単なものでいいのか?最後のゲームが…
「さあ、どうぞ?」
カードを静かに差し出す。
順番に引いていく。
…あれ、さっきの女子高生は一体どこへ行ったのだろうか。
まあ殺されたのかもしれないな。どうでもいい。
皆が引き終わった。
カードを静かにめくる。
緊張が走り、ピリピリと体に圧がかかる。
目を瞑って死を覚悟する。
……何も、起きてない?
目を開けた。
…すると、そこには、、
首に縄がかかっている他の参加者たちがいた。
『は、?どういうことだよ!?』
「貴方が選ぶんですよ。」
『え?』
「貴方は残ったんです。
だから殺す人を選んでください。」
『ちょ…そんなの、、』
「いいんですか?そうすれば貴方が殺されますよ?
せっかく勝つ機会が来たのに…いいんですね?」
いいのだろうか。人をそんなにむやみに殺してしまって。
もう人は殺さないと決めたのに。
あんな卑劣な叫び声をあげさせないと、そう決めたのに。
そう自分と約束したんだ。破ることは許されない。
…いや、でも今更、どうなんだ?
毒味ゲームでも仕掛けを分かっていたけれどわざと黙っていた。
人狼で何人も殺した。
何を躊躇することがあるのだろうか。
俺は散々殺してきた。
今までも、これからも、それはずっと変わらない。
…だから、
『全員。』
「…ほう」
『全員、殺してください。』
「いい判断です。では___
さようなら。」
銃声が6回鳴った。
…6回?それは俺も含めた人数…あれ?
どうして、どうして…
ああ、視界が狭窄して…
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「ははっ、
はははははっ!」
あの男、全員と言ったからな。望みどおりここにいる全員の参加者を殺した。
もちろん、あいつも含めてな。
自分だけ助かろうとする愚かさ。
どうでも良くなってしまう適当さ。
人の命を奪うほどの金への独占欲。
それもまた美しい!!
私はこれをまさに見たかったのだよ!
人の命は花のように美しい。
だがその花は枯れてしまったりする。
それを私は、美しいままとっておきたい。
綺麗な思い出のまま、美しくいたい。
腐ったところも美しい。
人の命は美しい!!
だからこそ、大切な思い出のままとっておきたいのだ、私は。
綺麗だろう?美しいだろう?
だから私は、腐ったところも美しい、そんな花の命を見たかったのだ!
次はどんな人が来るのだろうか!楽しみだ!
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