朝になった。
全くもって最悪の目覚め。
鴉がゲームの始まりと言うように絶望の鳴き声を発する。
悪夢が続いているようで実に不快だ。
俺は昨日全然寝れなかったから、多分それもあるんだろうけど…
あの男、一体何者なんだ…?
あの手紙のことといい、この菫邸のことといい、彼は金持ちと推定していいだろう。
こんな殺し合いに意味を見出さないはず…一体なぜ?
考えるだけ無駄だ、やめよう。
そう思い俺は思考を放棄した。
すると俺が起きたのを察したように、男が放送で、
「皆様おはようございます!寝心地はどうでしたか?
最上級のベッドをご用意したのですよ!笑」
全く、その最上級のベッドもあんたのおかげで台無しだよ本当。
「さて、今日のゲームは三つあります。」
「午前中はみなさんに人狼ゲームをしてもらいます!
正午は昨日と同じ毒味ゲーム。午後は嘘発見器ゲームをしてもらいます。」
「ではみなさん、昨日と同じ場所に集まってください。」
はあ、と渋々共有スペースに向かう。
部屋は風呂も服も完璧に用意してある素晴らしい部屋だったが、正直好きになれそうにない。家が1番だろう。
そんなことを考えながら昨日と同じ場所に集合する。
他の参加者はいつ殺されるのかとビクビクしているようだった。
「皆様おはようございます。
では午前中は人狼ゲームですね、カードを取ってください。」
それぞれ自分のカードを取っていく。
「それが皆様の“役職“です。
役職の説明はそのカードに書いてあるのでよく読んでいてください。」
「人狼は毎回、夜になると人を殺します。
その時に殺された人は…もう、お分かりですよね。」
ゴクリと唾を飲み込む。
「人狼ということがバレてしまったら、そこでゲーム終了。
人狼は殺されます。」
「では、ゲーム開始です。夜になったので、みなさん目を瞑ってください。」
参加者は全員目を静かに瞑る。
しんと静まる空気の中、緊張感だけがただ走る。
「人狼は手をあげてください。」
「…殺したい人を選んでください。」
「分かりました。では次に…」
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「夜が明けました。みなさん目を開けてください。」
自分が殺されていないことを確認して、目を開ける。
「今夜殺されたのは…」
ドキドキと心臓が鳴り止まない。こんなのは初めてだ。
「あなたです。」
後ろの男を指した。
それと同時に、男の首は吹き飛んだ。
ああ…やってしまった……
「では、人狼を決める話し合いを始めてください。」
『…あの、いいですか?
私占い師なんですけど、この人、人狼チームでした。』
女は俺を指して聡明そうに言った。
「…私はコスプレイヤーなんです。コスプレイヤーは占い師に占われると人狼チームと言われるんですよね。あなたが“本当に“占い師ならですけどね。」
『え…』
「あなた、人狼だからそうやって嘘を言ってるんですよね?バレてますよ。」
『そんなことっ…!』
「確かに…いきなり占いの結果を言うのもなんだか不自然だし…」
「嘘ですね。」
『違う!違うわ!!!』
「…では、この人が人狼でいいですね?」
皆頷いた。もちろん俺も。
「ではさようなら。」
『いやあああああ!』
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最後、人狼がうまく隠れた為、市民チームが人狼チームの半数を下回ったため、ゲームは中断され、人狼チームの勝ちとなった。
残った市民チームは殺されなかったからまあ良かっただろう。
「…ははっ、」
よく騙されたよなあいつら。笑
俺の嘘に気が付かないなんて。
あーあ、楽しかった。
おかげで参加者も減らせたし。
まあ油断はよくない。
このまま気を引き締めていこうじゃないか。
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