Dying music 〜音楽を染め上げろ〜







「またダメだ。」



ベッドにヘッドフォンを投げると床に寝そべった。


「何でできないんだ。」


ここ最近、どうにも調子が悪い。体調ではなくて精神的にっていうか。


夏合宿が終わった辺りから、ギターが思うように弾けなくなった。指が絡まってパワーコードが上手く抑えられない。コードチェンジもあたふたして、全体的にミスる回数が多くなっている。


ミスすることが悪いわけではない。そこから改善して次に活かしたり、やる気に繋がるならまだいいんだ。それに大体はすぐ切り替えはできる。


でも今回は全然立て直せない。これじゃあ夏合宿をした意味がない。音が安定しない。いつもの感触じゃなくて気持ち悪い。



「前までできていただろ……。」



そのことも関係したのかCyanとしてのステージでも失敗することが増えた。こんな風に歌いたいっていうイメージは頭の中にあるのにそれを表現できないんだ。迷いがあって、歌ったあともスッキリしない。

この前なんか本番中に歌詞飛んで大パニックだった。何とか繋げられたはいいものの、こんなことは初めてで動揺した。




「あ、勉強……。」




学生である高校生の本業は勉強だ。古典、現文、数Ⅰ、数Aなど全部で10教科。に、加えて今回は保体と家庭科も入るから12教科か。


クッソ、保健とかなんて受験で使わねーよ。



勉強、文化祭の練習、ギターソロとテスト明けにはMidnightで2件。それから今月は動画1本は上げるからその準備。頭おかしくなりそう。





「…今日はもう寝よう。」



明日も1件ステージあるんだ。一度、気持ちを落ち着かせて再開しよう。






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