添い寝だけのはずでしたが

「課題が終わらなくて……」


「そうなんだ? 出せないと合宿に行けないよね。エマも手伝うよ」


「え……そんな、いいよ」


 ずっと避けていたのに、こうしてもう一度歩み寄ってもらえるとは思わなかった。


「もちろん! 私たち、友達だよね」


 こうして人の優しさに触れると、自分が今までエマちゃんにしていた態度を申し訳なく思ってしまう。


「ごめんね……ずっと避けてたのに」


「そうなの? 気付かなかった」


 そんなわけないのに……。


屈託なく微笑むエマちゃんを見ていると、自分の置かれている現状を全て話してしまいたくなる。


そうはいっても葵さまとの本当の関係を話したら、怒らせて強制解雇される可能性もあるし、一時の感情に流されて話すわけにはいかないよね。


「もうすぐ終わるから、大丈夫。ありがとう」


「エマ、得意だからやってあげる」


「そんな、いいよ」


 私がやっている間、エマちゃんは側でずっと色んな話をしている。


トップアイドルや、流行りの曲や、人気スイーツの話で、話す時の顔もとてもキラキラしていて女の子らしくてかわいいなと思っちゃう。


私はお屋敷では勉強をしているか、葵さまの部屋にいることが多くて、テレビをゆっくり見ることがあまりない。


もともと流行りに疎いこともあり、エマちゃんの話はとても新鮮。


つい課題の手が止まってしまう。


「詳しいね。私、全然分からなくて……話についていけてなくてごめんね」


「全然だよ。じゃあ共通の話題にしよ?」


 エマちゃんはにっこりと微笑むと、指でハートを作る。


「葵さまのこと、どのぐらい好きなの?」