添い寝だけのはずでしたが

目の前に現れたのは、黒の上下を着た、私と同じ位か少し上に見える……男性。


しかも驚くべきは、その美貌。


これまで見たこともないほど整った顔をしていて、背も高く手足も長く、まるでモデルのようなスタイル。


サラサラの黒髪、目に少しかかる前髪から覗く瞳がとても印象的……。


思わず見とれていたことに気付き、ハッとする。


使用人にしては服装がラフ過ぎるし……


この方が……葵さま!?


ううん。添い寝が必要って、まさか同年代なはずがないよね?


誰なんだろう……。


その男性は私には目もくれず、部屋の中へ入るとドサッとベッドに横たわった。


とりあえず、止めないと。


「いけません! それは葵さまのベッドです。すぐに退いて下さい」


男性を押しのけようとしたつもりが、ずっと立ち尽くしていたせいか足が絡まり、そのままベッドに乗り上げてしまった。


「とんでもない女だな」


 目の前には、極上の甘い瞳。


私を覗き込むようにしているその見知らぬ男性に、わけもなくドキドキとしてしまう。