添い寝だけのはずでしたが

これは……罠だ、直感でそう思った。


だって構えていても、一向にキスをする気配がない。


こうすれば私が根を上げて逃げ出すとでも思ったのかな。


「葵さまは……ずるいよ。メイドだからって、私は人形じゃないんだよ?

決められたお仕事はこなすつもりだけど、今みたいなことをされたら普通にドキドキするし……傷付く……」


 葵さまの胸を押し返し、少し距離を取る。


「私がしたことで葵さまを怒らせているとしたら謝るしかないけど……それでも私はここにいる選択肢しかないから……」


「嫌々いるぐらいなら出て行け」


さっきまで余裕の笑みを浮かべていた葵さまの顔からは完全に笑みが消えていた。


甘い雰囲気とは一転、冷たく言い放たれてギュっと胸が痛くなる。