添い寝だけのはずでしたが

逃げようとしても葵さまは私をしっかりと抱き締めているし、体の自由も利かなくて身動きが取れない。


「友達になりたい? 俺は嫌だけどな」


なぜか愁いを帯びた瞳で見つめられていて、目の前に迫る葵さまに釘付け。


「……いきなり……何?」


「鈍いやつだな。学園内だけじゃなく、お前とそういう関係になりたい……」


吐息のかかる距離に、もう気絶寸前!


色気ダダ洩れ、無駄にイケメン過ぎる。


ううん、これって……からかわれてる?


いつものやり取りからして、好かれる要素なんて一切ないはず。


そうだよ、私が動転するのを見て喜んでいるのかも。


それなら上手く切り返すしかない。


「イケメンだからって……女が全員葵さまを好きになると思ったら大間違いなんだから……」


やっとのことで、声を絞り出す。


本当は誰が見ても超絶イケメンだけど、そんなこと言いたくない。


そうしたら、葵さまの眉がぴくりと上がった。