添い寝だけのはずでしたが

美沙さんにお辞儀をして、慌ててその背中を追いかける。


「今から少し話せる? 葵さまのことをもっと知りたくて……」


「俺に構うな」


振り向きもせず、どんどん先へ歩いて行く。


学園ではほんの少し葵さまに近付けた気がした。


だけど全然そうではないみたい……。


本当に気難しくて困る。


とはいうものの、その葵さまの不眠症を改善するためにここへ呼ばれたんだよね。


だから私ができることがあるなら、やるしかない。


美沙さんからも家族のような存在でと言われたし、そこまでは難しくても友達としてなら……お互い歩み寄れるかもしれない。


「葵さまのことをもっと知りたいの。友達になれたら嬉しいけど、それって無理かな」


そう声を掛けると、ぴたりと足を止めた。