添い寝だけのはずでしたが

住み込みとは聞いていたけど……ただお掃除や料理を作ったりするのかと勝手に思っていた。


寝かしつけが必要な子のお世話を任されるってことね……きっと。


かなり驚いたけど、ここで怯むわけにもいかない。


余裕の表情でにっこりと微笑んだ。


「畏まりました、精一杯頑張ります」


「紹介してくれた人から、寧々さんは責任感が強くて、自立している素敵な女性だと聞いているの。想像以上の方に来ていただけて安
心したわ」


プレッシャーを感じるけど、期待を裏切らないように頑張るしかないよね。


美沙さんによると、葵さまのお父さまである水島社長は仕事人間で、ほぼこの家に戻ることはなく、お母さまもエステ関連の事業を学ぶために、現在は海外で過ごされているそう。


こんなに大きなお屋敷に住んでいながら、葵さまの親族は誰ひとりいないなんてきっと寂しいよね。


それで添い寝係が必要ってことなのかな。


お屋敷の見取り図を渡され、二階の通路の一番奥が葵さまの部屋だと聞かされた。


「葵さまは不眠症でお辛い思いをされているの。主治医によると、添い寝をすれば回復に向かうらしくて。ぜひ寧々さんに葵さまのケアをお願いしたいわ。頼りにしているから、よろしくね」


ここでの過ごし方を簡単に説明した後、美沙さんは部屋を出て行った。


分からないことばかりだけど、お仕事をしながらひとつひとつ学んでいけばいいよね。


とりあえず今日からここで頑張ってみよう。