添い寝だけのはずでしたが

「ねえ、今朝から機嫌が悪かったよね。どうして?」


「ああ……お前のせいじゃない、悪かった」
 

葵さまが謝った!?
 

驚いていると、小さくため息をついてこちらをチラリと見る。


「最近は発作も起きてなくて、油断した。格好悪いところを見せたな……」
 

やっぱり、弱みを見せたと思ってあんな態度をとったんだ。


「気にしてないよ。学園では王様扱いかもしれないけど……私には強がらなくていいし、葵さまのどんな部分も見せて欲しいな。秘密は厳守するね」


「気が向いたらな。ま、とりあえずこれからよろしく、彼女さま」
 

いや、彼女さまって!


「私の名前、知ってる?」


「……食べ終わったなら行くぞ」
 

きっと覚えてないよね。


得意げに笑ってるけど、私をニセカノにして大丈夫なのかな。
 

メイドとはいえ、私に興味なさ過ぎ。
 

仕方ないとは思うものの、なんだかちょっと悲しい。


ううん……悔しいのかな。


振り返ることもなく足早に歩く葵さまの後を、黙って着いて歩く。


隣に追いついても、そのうち振り払われている。


この距離感は心の距離。


当たり前だけど……きっと縮まることはない……。