添い寝だけのはずでしたが

「友達の印にもらったのに、あれはないよ……」


「俺が渡す物以外、身に着けるな」
 

え、どういうこと?
 

全く意味が分からない。


「本気で言ってる?」


「ああ……」
 

教室の近くまで戻ったとき、葵さまが私にグッと顔を寄せてくる。


え……何?


「色々と面倒だから、俺と付き合ってることにする方が良さそうだな。今からお前はニセカノだ」
 

教室の前でコソコソと話している私たちを見て、クラスメイトが騒いでいる。


「ちょっと……みんなが見てる」


「見せつけてるんだよ」
 

もう、どういう心境の変化?
 

ついさっきまで怒って顔も合わせてくれなかったのに。


そこへ渋谷くんが駆け寄ってきた。


「俺の寧々ちゃんに、くっつき過ぎだぞ!」


「いつからお前のなんだよ。言ってなかったけど、俺の女だ。周りにもそう言っとけ」
 

ええっ……。


抱き寄せるようにされて、葵さまと密着する。
 

こんなの聞いてないっ!
 

突然のことに顔が一気に熱くなる。