添い寝だけのはずでしたが

「かわいい、似合ってる! ねえ、葵さまと親しそうだけど、どういう関係? まさか付き合ってる? 一度もそんな噂、聞いたことないのになあ……」
 

ドキッ。
 

興味津々の顔でジッと見つめられる。


「付き合ってないよ」


「そうなの? 良かった!」
 

嬉しそうに笑っているところを見ると、エマちゃんは葵さまのことが好きっぽい。


「一緒に登校してるよね。どうして?」


「親同士が知り合いで……転校したばかりで慣れない私を、葵さまが気遣ってくれてるの」


「ええっ? 女嫌いなのに、そういうの……すごく珍しい……」
 

大きな瞳で探るように見られると、結構迫力がある。


や、やばい……このままだと、変なことを言ってしまいそう。


なんとか話題をすり替えなきゃ。


「ねえ、どこで食べる? お弁当を持って来てないから、途中で買うね」
 

そう言うと、複雑な顔をしている。
 

何かまずいことを言っちゃった?


「みんなほとんど別室で食べるんだけど、準備をしているから今はその待ち時間なの。葵さまは何も言ってなかった?」


「あ、ああっ……そうなんだ。そういえば聞いたかも。忘れっぽくて」


また昨日みたいに別館で会食形式なのかな、この学園の日常が私にはさっぱり分からない。


このまま会話しているのも辛いなと思っていると、葵さまが近付いてきた。