添い寝だけのはずでしたが

「うーん、いないかなあ」


「私はBBBが好きなの。葵さまって、シオンに似てるよね」


「そ、そうかな……」
 

それが今、人気絶頂グループのメンバーだってことは知っているけど、葵さまに似てる気はしない。
 

返事が期待通りでなかったからか、眉を寄せて今にも泣いちゃいそうに切ない表情を浮かべている。


「アイドルの話なんて迷惑って顔してる。聞いてみたかっただけなの……」


「迷惑じゃないよ、ただ似てるかなあって思っただけ。クラスにまだ友達がいないから仲良くしてくれたら嬉しい」


「じゃあ私が友達1号だね。中川(なかがわ)エマだよ。寧々ちゃんって呼んでもいい?」
 

にっこりと微笑む姿がアイドル級にかわいくて、こちらも思わず笑みがこぼれる。


「もちろん。私もエマちゃんって呼ぶね」


転校早速、お友達ができてしまった!


「友達の印、これをあげるね」


貝殻の形をしたピンクのヘアピンを渡された。


「わあ、綺麗」


「私とお揃い」


いきなり距離感が近い気がするけど、転校したばかりの私に気を遣ってくれてるのかな。


お礼を言ってそれを受け取り、こめかみのところにつけた。