添い寝だけのはずでしたが

醜態をさらしたと思ってる?


考えても原因は分からないし、時間を置くしかないのかな。


仕方なく席を離れることにした。


お弁当を持って来ていないし、購買で何かを買って外で食べよう。


教室を出てしばらくすると、後ろから誰かの走る足音が聞こえる。
 

葵さま!?
 

ありえない期待を抱きつつ、振り返るとそこにいたのは昨日スカートを貸してくれた、あの子だった。


「どこに行くの? ひとりなら一緒に食べない?」


まさかそれで追いかけて来てくれたの?


優しさに感動すると共に、昨日のお礼を言うためにぺこっと頭を下げた。


「昨日はスカートを貸してくれてありがとう。クリーニングに出してるから、また改めて返すね」


「そんなのいつでもいいよ」


「あの……昨日、あのあと部屋から出られなくて……」


「ええっ、そうだったの? 知らなかった~。お腹が空いてたからすぐに戻ったの」
 

悪びれる様子もなく、にっこりと微笑む。
 

そうだよね、私の着替えを待つ必要なんてないもんね。


「そうだったんだ……」


「ねえねえ、好きなアイドルっている?」


突拍子もない質問に若干驚きつつも、話題を広げようとしてくれているのかと思い何とか答える。