添い寝だけのはずでしたが

運転手さんの話だと、この状態になるのは一度や二度ではなさそうだった。


きっと葵さまにも、うなされていた自覚はあるんだよね。


詳しく聞かれたくないみたいだし、放っておいた方が良さそう。





学園に到着してからも、葵さまは私と顔を合わせようとしないし、話し掛けても無視される。


私が出すぎたことをしたから、気に障ったのかな……。


授業中、眠たそうな目をこすりつつも葵さまは起きていた。


お昼休みまで隣の席の葵さまを観察していた。


顔色が悪いというわけではないけど、やっぱりなんだか調子が悪そう。


「疲れてるみたいだし、今日はもう帰ろう?」
葵さまに声を掛けると、ウンザリした顔を見せられた。


「うるさいな……顔も見たくない、どっかに行けよ」


うわ……ひどい。


私たちのやり取りを見ているクラスメイトが、ヒソヒソと話す声が聞こえる。


「安城さん、何様なの? 葵さまに意見するとか信じられない」
「自分が早退したいからって、葵さまを巻き込むなんて最低」
 

色々な声が聞こけるけど、私を雇っているのは葵さまだから別に何を言われても構わない。
 

最初から葵さまは私に冷たいけど、ここまで拒絶されるのは初めて。


私、何かした?


思い当たるのは、今朝の車の中での出来事。