添い寝だけのはずでしたが

「すぐに車を停めて下さい」
 

路肩に駐停車した瞬間に車から降り、近くにあったコンビニに駆け込んだ。
 

そして冷たいミネラルウォーターを買って、また車に戻る。
 

葵さまの頬にそのペットボトルを押し付ける。
 

冷たさに驚いて起きるかと思えば、渋い顔をしただけだった。
 

まだぐったりとはしているけど、呼吸が少し荒い。


少しでも楽になればと、ネクタイを緩めて、シャツのボタンを2,3個開けた。


額にかいた汗を、ハンカチで軽く押さえる。


少し落ち着いてきたように見えて、ホッとしていると……葵さまに手を掴まれた。


「何してるんだよ……」


薄目を開けてこっちを睨んでいる。


良かった……意識が戻ったんだ。


「苦しそうだったから……あっ、そうだ。これ飲んで? 冷たくて頭がスッキリするよ」
 

何か文句を言ってくるかと思ったけど、黙ったまま私の手からペットボトルを受け取った。
 
素直に飲んでいるところを見ると、喉が渇いていたんだと思う。


「……もう平気?」
 

顔色は元に戻っている様子。


心配で顔を覗き込むと、フイと背けられた。