「無理するなよ」


「もう平気。ところで、どうして私、服を着替えてるのかな……って」


「美沙がやってた。俺は横で見てただけ」
 

見……見てた!?


「葵さま……着替えを見たの?」


「俺の部屋だし」
 

ニヤニヤしていて、本当に恥ずかしくて仕方がない。
 

一生の不覚!


「うう……」


「顔、真っ赤だな……。何も見てないから安心しろ、もう大人しく寝ろよ」


「きゃっ!」
 

ぐいっと腕を引き寄せられて、強引にベッドの上に引っ張られる。
 

何をされるのか分からずに身構えていたら、葵さまは私の体をそっとベッドに横たわらせた。


「おやすみ」
 

その後は私に背を向けて自分も寝転び、しばらくすると寝息をたて始めた。
 

びっくりした……だけどもう、眠ったの?
 

これって添い寝が成功したってこと!?
 

とりあえずここにいてもいいみたいだし、私もいつの間にか眠っていた……。
 

転校初日、とんでもないハプニングに見舞われた。


だけど葵さまとの距離がほんの少し近付いたし、これで良かったのかな!?
 

そう思いながら今日の出来事を色々と思い返しているうちに、私もいつしか眠りについていた……。