添い寝だけのはずでしたが

小学生の時、学校があまり好きではなかった私に元気をくれた先生がいたの。


私自信が子ども好きっていうのもあるけど、あの先生みたいにひとりでも多くの子どもの力になりたい。


その夢に向かって、今、精一杯頑張っているところ。


生活費はバイトで稼ぐし、何とかここに残ることを認めて欲しいと必死で頼み込むと、お父さんは渋々頷いた。


なんと……お父さんの勤めている企業のトップ、水島グループの社長の家で住み込みの仕事を紹介してもらえることに!


学校へもそこから通えるというし、こんな奇跡みたいな話が舞い込んでくるなんて本当にラッキー。


私も両親と離れて暮らすのは寂しいし少しの不安もあるけど、チャレンジしてみようと思う。


そうしてメイドとして働く話はとんとん拍子で決まり、安心して両親も海外へと旅立った。







大きなスーツケースを抱え、今、私は……大きなお屋敷の前に立っている。



安城(あんじょう)寧々、高2。



私の新しい生活が、これから始まろうとしている……。



高級車の送迎でここまで辿り着いたわけだけど、門をくぐった後、まるで庭園というような広大な敷地を通り抜け、信じられないぐらい大きな建物を見上げる。


今日からここで働くんだ……。


呆然としている私の前に、お屋敷の中からひとりの女性が現れた。