添い寝だけのはずでしたが

「ああ見えて、俺の母親だ。趣味で……メイドをやってる……」


 ……え?


 葵さまは頭を抱えているけど、これで疑問が解けた気がする。


 この家の全てを取り仕切っていることや、私と葵さまが合宿から帰ったあとに話したときも、社長のことにとても詳しそうだった。


葵さまが倒れたときは、お母さまのように葵さまを日々看病していたし、それで全てのことに納得がいく。


「エステ関連の仕事で海外に行っていると聞いたけど……」


「一応そういうのもやってはいるが、ハウスキーパーの会社を立ち上げて色々と手広くやってる。元々この屋敷のメイドで、父親に見初められて結婚したからな」


 びっくり……そうだったんだ……。


 さすが、スーパーメイドなわけだ。


「自分のことは棚に置いて、父親は俺がメイドとそういう仲になるのを嫌がってる。勝手だよな……」
 

美沙さんは仕事ができて気立てもいいし完璧な人に見えるけど、私はそうじゃないし仕方がないよね。


「まあなんと言われようと、俺は寧々を大切にしたい。そのために、この留学は必須だ……だから着いて来いよ」


 切ない表情で見つめられて、胸が一気に高鳴る。


 一緒に着いて行きたい……。


 でもそれが最善の方法なのかは分からないし、自分の夢も諦められない。


「どうしよう……決められないよ。葵さまと一緒にいたいの、だけど……やっぱり日本にいたい。だからって、葵さまが自分の決めた道を変えるのも嫌なの」


「わがままだな……」


 そう言って、優しく頬を撫でる。


 葵さまの表情はとても優しくて、胸がギュっと苦しくなる。


 頬に零れ落ちた涙に、葵さまがそっとキスをした。


 ドキッ……。