葵さまの彼女になって、早数か月……。


 学園でも葵さまは無茶をすることがなくなり、夜もぐっすり眠れているからか授業態度も日々良くなっていった。


 成績がいいのは相変わらずだし、授業中に眠ることもなく、しかも進んで学園の行事に取り組むようになった。


 これには驚きだけど、このみちゃんや千咲ちゃんはそういうことが好きだし、私も一緒に手伝っているうちに葵さまも参加して……といった流れでそうなったの。


行事や他の生徒と関わるうちに、葵さま自信も、もっと周りに目を配ろうと思い始めたんだって。


物凄い進歩だよね……。


 先生からの評判は、葵さまのお父さまの耳にも入ることになって、これには大変悦ばれているそう。


 美沙さんは私の大貢献だと言ってくれているけど、元から葵さまにその素質があっただけ。


 私はそのちょっとしたきっかけを、作っただけに過ぎないよね。


 今日は葵さまが遅くなると聞いて、部屋でゆっくりと過ごしていた。


 すると美沙さんがやって来て、ここで少し話すことになった。


「こんなこと……私の口から言いたくないんだけど……」


「どうしたんですか?」


 神妙な面持ちで、ただ事ではないと気付かされる。


「社長から、寧々さんを解雇すると言われたの……」


 ああ……とうとう、この日が来てしまった。