添い寝だけのはずでしたが

「そんなの誰も信じないよ。だから寧々ちゃんが宇治山くんを助けてあげて? 葵さまと別れるだけ。簡単なことだよね」


ここで返事をしたら……従わないといけなくなってしまう。


それに宇治山くんを庇ってやったことだと知れたら、葵さまが誰にどういう行動をとるのか想像もつかない。


「少し……時間をくれない?」


「ま、いいけど」


 断られるかと思ったら、猶予をもらえて驚いた。
 

宇治山くんは黙ったまま俯いている。

「じゃあ……一緒に来て。考えがまとまるまでエマと話そうよ。昨日ね、お気に入りのショップでこれ買ったんだあ。かわいいでしょ」


髪につけたゴムを指差し、まるで仲のいい友達みたいに腕を組まれて、外へと連れ出される。


 こうしていると普通の女の子なのに、やることは非道で頭の中でそのギャップを埋めることができない。


 一体なにを考えているのか分からないけど、出会った時の優しいエマちゃんの顔がチラついた。


 他にもひどいことをされたけど、ただ純粋に葵さまのことを想うその一心でやってしまったことなのかもしれない。


 許すとか許さないとかじゃなく、相手が変わらないのなら、こういうエマちゃんを受け入れるしかないのかな。


 そんなことをぼんやりと考えていた……。


 しばらく歩いて連れて来られたのは、旧校舎だった。