添い寝だけのはずでしたが

それにエマちゃんの提案って……。


何を言ってるのか分からず、宇治山くんを振り返る。


「ちょっと前に中川が企画を持ち掛けてきたけど、俺が却下したんだ。知り合いのアーティストを招待したいなんて、あまりにも個人的な理由だしさ」


宇治山くんは難しい顔をしてエマちゃんを睨んでいる。


「実行委員でもないのに宇治山くんの一任で決定するなんて、本当に迷惑。だけど展示物が壊れたら、他のイベントをやるしかないよね」


 睫のびっしり生えたお人形さんみたいな瞳をぱちくりしている姿はとってもキュートだけど、言っていることは恐ろしい。


「みんなで一生懸命作った物を壊すって……まさかそんな酷いことしないよね……」


「ふふっ。こうなったら寧々ちゃんにお願いしようかなあ」


 私の話はまるで聞いていなくて、構わず話し続ける。


「葵さまと別れるなら、壊さないでいてあがる。もしエマのお願いが聞けないなら、全部宇治山くんに罪を被ってもらうね?」


 そんな……。


 葵さまと別れるっていうのは元から付き合っていないからいいんだけど、登下校は別々ってことだよね。


学校では一緒にいることはできなくなるし、まず葵さまがなんて言うか分からない。


「エマ知ってるよ、宇治山くんって結構崖っぷちなんだよね。放送部で先生たちの負担を減らしてポイントを稼いでるけど、本当は特進クラスのボーダーラインギリギリなんでしょ? 普通クラスに落ちたら一家の恥だから、転校させられるって聞いたよ」


「うっ……」


 図星なのか宇治山くんは青い顔をしている。


「こんな事件起こしたら、普通クラスどころか一発で退学だよね」


「宇治山くんがやるわけじゃないし、私が証人になる」


 エマちゃんに食ってかかるも、余裕の表情を崩さない。