全く眠たくならないし、このままだと色々なことを考えるだけで疲れそう。


頭を冷やすためにも起きて勉強をしようかな……。


起き上がって葵さまの机に向かう。


ここにある物は自由に使っていいと言われているからとても助かる。


特進科の授業内容は難しいし最初はどうなることかと思ったけど、葵さまのお陰で順調に身についている。


自分の復習用だと言いながら、とても分かりやすい解説を作ってくれているの。


分かりにくい優しさだけど、本当にそういうところも葵さまらしいなと思う。


今日の復習を済ませ、葵さまを起こさないようそっとベッドにつく。


一日の終わりをここで過ごすことが、私にとってささやかな幸せになりつつある。


一般的な高校生の生活とはかけ離れているし、自分の自由な時間も皆無。


それでも葵さまと一緒にいるこの時間がとても貴重なものとなっている。


目を閉じると、放課後の出来事が頭の中を巡る。


宇治山くんはいい人だし好きだと言ってもらえて有難いとは思うものの、一緒にいたいと思うのは違う人なのだと思い知らされる。


この先葵さまとどうなるわけでもないとは分かっていても……。


やっぱり、ちゃんと断ろう。


 そう思ったらなんだか気が楽になり、ベッドに横になるといつの間にか眠りに落ちていた。