「そんな、葵さまとはただの主従関係です……」


 学園では彼女のフリをしているだけだし、好意を持たれているかもハッキリしない中、お似合いだという言葉が何だかむず痒い。


 美沙さんはにっこりと微笑んで、そのまま戻って行った。


 とりあえず……初心に戻ろう。


葵さまとは、必要以上に関わっていこうとしない。


これに尽きるよね……。


本来私はここへ恋愛をしに来たわけじゃないし、日本に残る居場所を確保するためにメイドになったはず。


それに私のせいでエマちゃんを怒らせて、葵さまに多大な迷惑をかけてしまったことは事実。


もうこれ以上、困らせることはできない。


これから余計な感情は、一切取り除いてしまおう。
 

葵さまの戻って来ない部屋で、ひとりそう誓った……。