添い寝だけのはずでしたが

だんだん葵さまの顔が近付いてきて、身動きがとれなくなる。


 キス……!?


 え、だけどまさか……。


 もう片方の手が私の腰に伸びてきた瞬間、体がビクッとして慌ててベッドから立ち上がった。


 お互い、好きだとかそういうことは確かめ合ってないし……これは葵さまの気まぐれ?


 勢いでするつもりだったなら、これから気まずくなるのは分かりきってる。


 気が動転してどう言えばいいか分からず困り果てていると、葵さまは諦めたような顔をして立ち上がった。


「ごめん……」


 そしてそのまま部屋を出て行ってしまった。


 さっき、キスされそうになったよね。


メイドとして避けちゃダメだった?


ううん、こんな……流れでこういうことをするのは嫌だし、葵さまが私のことをどう思っているのか全く分からない。


謝られたし、思い付きだったのかな……。


本当によく分からない。


 ここ数日の葵さまはとても優しくて、私もそれを感じていた。


 ふたりだけの絆が築けたような気もしていたし、あの温かい眼差しは……私のことを大切に想ってくれているからこそなのかもしれない。


 例えそうだとしても言葉にはされていないし確実ではない。