添い寝だけのはずでしたが

「オムライスもいいけど、昨日の豪華ディナー、食べたかったな……」


「ハハッ、かなり楽しみにしてたよな。俺は……オムライスってこんなに美味いのかって初めて思ったけどな……」


 しみじみと言っていて、キョトンとしてしまう。


「美味しいならよかった」


「ああ……また、頼んだら作ってくれる?」


「うん。こういうので良ければいつでも」


「やった」


 その笑顔は本当に嬉しそうで、こっちまで笑顔になるほど。


 最初は敵対心を剥き出しだた葵さまと、こんな風に過ごせるようになるなんてまるで夢のよう。


 そのうち葵さまはソファでウトウトし始めた。


 私の肩にもたれて、時折り薄目を開けてはこっちを見て嬉しそうに微笑む。

それはまるで愛おしい人を見るような眼差しで、ただドキドキしてしまう。


「お前は勝手にいなくなるなよ……」


 え……。


 どういうことなのか確認しようと思ったら、葵さまはそのまま眠ってしまった。


 結局しばらく起きなくて、そのことは聞けずじまいだった……。