添い寝だけのはずでしたが

え……。


とんでもないことを思った自分に自分で驚く。


疑似デートにすっかり入りこんで、感覚が変になっちゃったのかな……。


頷いた後に固まってしまっていたからか、葵さまが不思議そうに私の顔を覗き込む。


「どうした? 嫌なら他の物で……」


「ううん、これがいい」


「そうか」


嬉しそうに葵さまがそれをレジに持って行く。


なんだかその姿がかわいらしくて、微笑ましい。


 途中で渋谷くんから葵さまに連絡が入った。


 学校のみんなは明日か明後日の飛行機が準備でき次第帰省、このみちゃんは状況をみてエスアイツアーの人が連れ帰ってくれるらしく、私と葵さまは他の人たちとは完全に別行動をすることになった。


ということは、今日は完全にふたりっきり……。


 この非日常空間がそうさせているのかもしれないけど、台風でいつ帰れるか分からない中、葵さまと一緒に過ごすのがとても楽しい。


ふとしたとき、ふたりで旅行に来ているみたいな錯覚に陥る。


せっかくだからここにいる間だけでも、彼女として過ごしてみようかな……。