添い寝だけのはずでしたが

葵さまの手はすごく温かくて、自分の手がとても冷えていることに気が付いた。


「続けろよ」


「うん……事情があって、突然去る形になってしまって……その生徒に本当に申し訳ないことをしたって言ってた」


 ドキドキしているのもあるけど、嫌な思い出を話していて、手が少し震えていることに気がついた。


 葵さま……まさかそれに気が付いた、とか?


 本心は分からないけど、私のことを気にかけてくれているのは確かだよね……。


「先生の場合はその生徒に連絡する術がなかったらしくて……そうだとしても、行動に移せなかった自分を今でもとても後悔しているって。

私の場合も、クラスメイトが謝りたいと言ってるから、話し合いができるうちに一度だけでも聞いてみて欲しいって言われたの」


「そうか……」


「それでも学校に行けない気持ちの方が強いなら無理する必要はないし、受け入れることができるならまたみんなで遊べるといいよねって……」


 葵さまは少し考え込むようして、押し黙ってしまった。


「ごめんね、こんなこと……もっと軽い感じで話せばよかった」


「いや、話してくれて嬉しい。それで?」


「うん……学校に行ったらクラスメイトが私のことを心配していて、軽い気持ちで笑ってごめんって謝られた。たくさん話して分かったことは、私も友達に歩み寄ろうとしていなかったな……って」


将来の話を聞かせてと言って、こんな暗い展開になるとは思ってなかったよね。


 あまりにも葵さまの視線が優しくて、その包容力に甘えてつい詳しく話しちゃった……。


「そうか……話せてよかったな」


「うん。その時の友達とは今でも仲良しだよ。長くなったけど、その先生みたいに私も子供の気持ちに寄り添いたい、一歩踏み出す勇気を与えられるような人になりたいと思ったの」


「お前なら、なれるかもな……」


 ずっと手を握られていて、安心するようなやっぱりドキドキするような……。


「そうならいいけど。ねえ、葵さまの将来の夢は?」


「俺? それは秘密」