添い寝だけのはずでしたが

「将来は……まだはっきりとは決めてないんだけど、子供に携わる仕事をしたいと思ってるの」


「へえ……」


 葵さまは、穏やかな顔をして聞いてくれている。


「そう思ったのは、小学生のときに出会った担任の先生との出来事がきっかけ。私ね、すごく学校が苦手だったの。大人しくて友達もそんなにいなかったし、発表するのも恥ずかしくて……当てられるのが嫌だった……」


「なるほどな」


「一度、当てられて答えを間違えて……クラスのみんなが笑ってて。教室の天井がぐるぐる回ってる気がしたの。もう怖くなって、学校に行けなくなった……」


クラスの子たちはからかうつもりじゃなくて、私が言った言葉が面白くて笑っただけなのに、あの時の私は恥ずかしいっていう気持ちが大き過ぎたみたい。


後からその先生から聞いて、時間をかけて理解したことなんだけど……。


「先生が毎日家まで来て、学校に行きたくないならいいよって言ってくれて、しばらくそれに甘えてた」
「そんなことがあったんだな……」


 軽く頷きつつ、私の顔を見ては微笑む。


 こんな葵さま、知らない……。


 話を聞いてもらっているだけなのに、なんだかドキドキしてしまう。 


「勉強も遅れがちだったけど丁寧に教えてくれて、学校の楽しそうな様子を聞かされると行ってみたいと思うのと、やっぱり怖くて行けない気持ちが交互にやって来て……結局、行けなくて……」


「そうか……」


「そんな時、先生にも忘れられない辛い出来事があるって聞いたの。過去に教えていた生徒と突然会えなくなったんだって……」


「へえ……」


 そこで葵さまが寝転がる。


 そして私の手を取った。


 ドキッ!