添い寝だけのはずでしたが

「葵……さま?」


 目の前にいるのは、間違いなく葵さま。


 しかも今まで見たことがないほど、包み込むような優しい表情をしている。


「どうしてここにいるの? 船はもう動いてないはずなのに」


「俺が本気になればどうにでもなる。事情は知ってる……疲れたろ。よく頑張ったな」


頭を撫でられて……ずっと張り詰めていた気持ちが一気に緩んだ。


葵さまの体に腕を回し、思いっきり抱き着く。


普段ならどういう状況でもこんなことしないはずだけど、今はもう何も考えずにその温かい胸に顔を預ける。


そして泣くつもりなんてないのに、涙がポロッと零れる。


ただ、純粋に嬉しい。


そして来てくれたのが葵さまだということが、本当に嬉しい……。