合宿に着いて来て欲しいがために、別行動を許したのは迂闊だったな。


せめて部屋を隣にしたり、監視をつければよかったか……。


その時、渋谷から連絡が入った。


「見つかったぞ!」


「そうか……で、どこにいる?」


心臓が今にも飛び出しそうだ……普段取り乱すことのないこの俺が、落ち着きを取り戻せないでいる。


「それが、違う島の乗船所にいるらしい。高校生ぐらいの女の子がいて、多分それが寧々ちゃんだと思う。とりあえずコンタクトをとって……」


「寧々のところに今すぐ行きたい。なんとかなるか?」


「マジか。海が荒れて船が欠航になってるし無理だな……」


 それは分かるけど、きっとかなり不安になっているはず。


「不可能を可能にするのが、SIリゾートの次期社長だろ? 頼むよ」


「いや、そう言われてもこればっかりは……」


「なら俺が直接交渉する。事務所の連絡先を教えてくれ」


「断られるのは目に見えてるぞ? スタッフの安全が第一だからな」


「承知の上だ」


 それでも、できることをやりたい。


寧々の為でも誰のためでもなく……俺が寧々に今すぐ会いたいだけのこと。


だから独りよがりだとは分かっていても、この想いをどうしても貫き通さなきゃいけない。