添い寝だけのはずでしたが

「寧々の居場所、お前が知ってるんだろ? 吐けよ」
 怒りに任せて壁を思いっきり蹴ると、物凄い形相で俺を睨みつけてきた。


「知らない!」


必死で俺の手を振り払い去って行くその後ろ姿を見送りながら、渋谷に電話を入れた。


「寧々がいない。中川エマを問い詰めたけど、大した情報が得られなくて」


「らじゃ~! 調べるから待ってろよ」


実は今いるホテルは渋谷の親が経営しているし、周辺の飲食店も全てSIリゾートの傘下にある。


次期後継者ということもあり挨拶回りもすませていて、観光社にも顔がきく。


宿泊先がここだったことは不幸中の幸いだな。


それにしても一体どこに行った?


 外は嵐、スマホが繋がらないことを考えると……手元にないか、圏外にいる……。


まさか、な?


慌てて外に出ようとするものの、ひどい雨風で身動きが取れない。


海に放り出されている姿を想像するけど、さすがの中川エマもそこまではしないか。


こんなことなら、嫌がられてもずっと側に置いておけばよかった。