添い寝だけのはずでしたが

 勝手な行動をして、葵さまに怒られるのは目に見えている。


 しかも合宿中で、色んな人に必要以上に迷惑がかかってしまうことも想定できる。


 今日中にはホテルに戻れないだろうし、明日戻れたとしても何かと大変そう……。


 居場所もなく、乗船所の隅っこで立ちすくんでいると……このみちゃんのスマホから呼び出し音が鳴った。


「誰から? 良かった、電話が繋がったんだね!」


このみちゃんはポケットからスマホを出したものの、手が震えていてそのまま床に落としてしまった。


急いで拾って渡そうとしてこのみちゃんを見ると、疲れきったのか目を閉じて深呼吸をしている。


顔色も良くないし、これは……また具合が悪くなってきたのかも。


電話どころじゃないと思って背中をさすっていると、いつまでも呼び出し音が鳴り続ける。


ふと画面を見るとそれがエマちゃんからだと分かった。


スマホ……見つかったの?


なんだか一気に気が抜け、とりあえず通話を開始した。


 心配してかけてきてくれたのかな……。


ちょうどいいタイミングでかかってきてよかった、私たちの状況を話してそれを先生に伝えてもらおう。


「エマちゃん……」


「あれっ、その声は寧々ちゃん? ふふっ! 今から人気シェフの豪華ディナーだよ。すっごく楽しみ」


 後ろで女子のキャッキャッとはしゃぐ声が聞こえる。