走ってきたのはエマちゃんで、ハアハアと息をきらしている。


 もうそろそろ夕食が始まるころなのにどうしたのかな。


「このみの体調が悪いって千咲ちゃんに聞いて、心配で……」


 そうだったんだ……。


 いつも一緒にいることが多いし、仲が良さそうだもんね。


 このみちゃんが自ら私と千咲ちゃんの班に入ってくれて嬉しかったけど、本当ならエマちゃんと一緒になりたかったよね。


「ちょっと中に入ってもいい?」


「うん」


 エマちゃんの顔を見れば少し元気が出るかもしれないし、それ以前に断っても強引に入って来そうな雰囲気だから、とりあえず部屋に案内した。


「このみ~! 辛そうだね。大丈夫なの?」


 エマちゃんがそう言っても、このみちゃんの顔は浮かない。


「片頭痛だし……しばらく横になってれば治ると思う……」


「そっか、いつもそうだもんね。じゃあエマはもう行くね……あれっ……」


 部屋を出ようとしたエマちゃんが、ポケットを探りながら焦っている。


「どうしたの?」