ここなは、職場に到着した。ドアを開ける。広いオフィスだった。編集長の椎名光一が来た。背は高い。おしゃれなブランドもののスーツを着ている。髪は短髪で真ん中でわけていた。ハンサムだった。
 「もっと早く来い。2年目だろう」
 と、光一。
 「す、すいません」
 と、ここな。
 「「申し訳ございません」だろう」
 「申し訳ございません」
 「うん」
 光一は去ろうとした。光一はふりかえった。
 「ん、どうした?」
 と、光一。
 「え」
 光一は自分の耳をさして、
 「これ」
 「あ、ああ」
 ここなは、光一を見つめた。光一は目でうなづいた。
 「似合ってる」
 と、光一。
 「あ、ありがとうございます」
 と、ここな。
 光一は去った。ここなは自部のデスクについた。カバンからスマホを取り出して机に置いた。隣には友達のカスミがいた。
 「なんかあった?」
 と、カスミ。カスミはロングヘア。まるで女性芸人のように面白くて頼りになる友達だ。
 「イメチェンよ、イメチェン」
 「ふうん」
 「さ、さあ、仕事しなくちゃ」
 そこへ光一が来た。
 「松島君、お茶頼む」
 と、光一。
 「ああ、はいかしこまりました」
 と、ここな。
 光一が去る。カスミがここなの肩をたたいた。
 「やったね。ここな」
 「え」
 ひょっとしてばれた。
 「みんな編集長ねらってるし、一歩前進」
 ここなはほっとした。
 「ほら、さっさといきな」
 「わかってるわよ」
 と、ここなは立った。ふと光一を見た。光一は目でめくばせした。
 「おお、これは恋の予感か」
 と、カスミ。
 「もうやめてよ」
 といってここなは机のスマホをぽけっとに入れた。ここなは給湯室へ行った。