松島家二階ここなの部屋。
 ここなは、黒いスーツにパンツスタイルだった。長い髪の毛を後ろにひっ詰めて、結んでいた。ここなは机について、丸い鏡を見た。机にはイヤリングがあった。ここなは、鏡をみながら、イヤリングをつけた。ここなは、バッグを持って、部屋を出た。階段を降りた。
 松島家、玄関。
 玄関横には靴棚があった。
 ここなは玄関に座った。後ろに母さゆり。リビングとの間の引き戸が開いている。リビングには父敬三。
 「ここな、なんかあった?」
 と、さゆりはここなを見ていった。
 「ん」
 ここなは母を振り向いた。
 「イヤリング」
 「ああ」
 ここなは手をイヤリングに持って行った。
 「イメチェンよ。イメチェン」
 「ふん、女らしくするようになったか」
 と、敬三。
 「うるさいいいい」
 と、ここな。
 ここなは、ヒールをはいた。ここなは立って、さゆりに向いた。
 「じゃあ、いってくる」
 と、ここな。
 「ええ」
 と、さゆり。
 「遅れるなよな」
 と、敬三。
 「わかってるのに言わないでよ」
 「ここな、早くいってらっしゃい」
 「ああ、そうだった。あんなおやじかまってたら、おくれちゃう」
 「何いー」
 と、敬三。
 がちゃ。
 ここなは、ドアを開けた。