脱衣所から出ると陽と鉢合わせた。
「陽?」
棒立ちしている陽に声をかけても動かない。
しばらくしてハッとして階段を駆け上がりすぐに
戻ってきた。
「これ、着てください」
とジャージを羽織らせてパジャマの入った袋を取ってジッパーを上まで上げる。
「というか、なんで俺の服を着ているんですか?」
「実は」
一連を話すと深いため息をついた。
「母がすみません。ですがそんな格好で
出歩かないでください」
「なんかごめん。あとちょっといい?」
一言断って、ジッパーを降ろして袖を通す。
再びジッパーをあげて陽を見ると、首が曲がるんじゃないかと思うほど、顔を逸らしている。
「陽?」
「すみません、俺にはちょっと」
耳が真っ赤に染まっている。
「ひ、くしゅん」
小さなくしゃみをすると慌てて向き直る。
「すみません、こんなところに立たせて。
風邪ひいてしまいますよね。
ドライヤー持ってきます」
また階段を上がっていく。
(あれは刺激が強すぎる!!
母さんが来たのはこれか!)
ー数分前ー
「陽くん、ちょっといい?」
「どうしたの?」
「適当にシャツとズボン貸してくれない?」
「なんで?」
言いにくいのか、少しして愛想笑い。
(またなにかしでかしたのか)
母は昔から天然。
父も祖父もそんな母をハラハラと見ている事が多い。
「別にいいけど」
深く考えないでタンスから出した服
があんなことになるとは。
シャツに対して全体的な小ささ。
(少し前まで同じくらいの身長だったのに)
自分がちゃんと成長していることに嬉しくなったが
薄い肩、細い手足、小さな足。
それ以上に女の子なんだと意識した。
慌ててジャージを着させると袖を通すのに上げた
ジッパーを降ろした時はびっくりした。
見えてしまいそうな胸元に顔を背ける。
ドライヤーを持っていき足の間に座らせて乾かす。
ジャージを着ていても
時折見えるうなじにドキッとする。
(平常心、平常心、俺は執事)
自己暗示しながらドライヤーをあてる。
「終わりました」
「ありがとう」
かけている時は気づかなかったけど、
ふわっと香るシャンプー。
(いつもと香りが違う?というか似てる?)
「お嬢様、シャンプーってどういうものを
使いました?」
「青い透明なボトル」
(俺がいつも使っているやつ!?
大丈夫か!?ずっと置きっぱなしだし雑菌とか)
「すみません、失礼します」
すぐに母に確認すると今日のために昨日買ってきたものだと聞いて胸を撫で下ろす。
「そういえば陽の理想の結婚相手ってどんな人」
「け、結婚!?
い、いきなりどうしたんですか?」
聞いた事に対して陽はひどく動揺している。
「さっき、お母さんから言われたでしょ?
お嫁さんがって。陽の理想ってどんな
人なのかなって」
「理想、ですか。」
少し悩んで真っ直ぐに私を見る。
「人、というより俺はたまに一緒に料理したり
買い物したりする。
毎日挨拶や言葉を交わす。
そんな対等な生活をする事が理想です」
「・・・なんか普通だね」
「それでもこれが俺の理想なんです」
「そっか、叶うといいね」
「・・・はい」
陽は寂しそうに笑う。
客間に敷かれた布団で眠り、
「またいつでも来てね。渚ちゃん」
「はい、お世話になりました」
「陽くんも風邪ひかないようにね」
「わかってるよ」
家族全員でお見送りしてくれ陽と一緒に家に帰った。
「陽?」
棒立ちしている陽に声をかけても動かない。
しばらくしてハッとして階段を駆け上がりすぐに
戻ってきた。
「これ、着てください」
とジャージを羽織らせてパジャマの入った袋を取ってジッパーを上まで上げる。
「というか、なんで俺の服を着ているんですか?」
「実は」
一連を話すと深いため息をついた。
「母がすみません。ですがそんな格好で
出歩かないでください」
「なんかごめん。あとちょっといい?」
一言断って、ジッパーを降ろして袖を通す。
再びジッパーをあげて陽を見ると、首が曲がるんじゃないかと思うほど、顔を逸らしている。
「陽?」
「すみません、俺にはちょっと」
耳が真っ赤に染まっている。
「ひ、くしゅん」
小さなくしゃみをすると慌てて向き直る。
「すみません、こんなところに立たせて。
風邪ひいてしまいますよね。
ドライヤー持ってきます」
また階段を上がっていく。
(あれは刺激が強すぎる!!
母さんが来たのはこれか!)
ー数分前ー
「陽くん、ちょっといい?」
「どうしたの?」
「適当にシャツとズボン貸してくれない?」
「なんで?」
言いにくいのか、少しして愛想笑い。
(またなにかしでかしたのか)
母は昔から天然。
父も祖父もそんな母をハラハラと見ている事が多い。
「別にいいけど」
深く考えないでタンスから出した服
があんなことになるとは。
シャツに対して全体的な小ささ。
(少し前まで同じくらいの身長だったのに)
自分がちゃんと成長していることに嬉しくなったが
薄い肩、細い手足、小さな足。
それ以上に女の子なんだと意識した。
慌ててジャージを着させると袖を通すのに上げた
ジッパーを降ろした時はびっくりした。
見えてしまいそうな胸元に顔を背ける。
ドライヤーを持っていき足の間に座らせて乾かす。
ジャージを着ていても
時折見えるうなじにドキッとする。
(平常心、平常心、俺は執事)
自己暗示しながらドライヤーをあてる。
「終わりました」
「ありがとう」
かけている時は気づかなかったけど、
ふわっと香るシャンプー。
(いつもと香りが違う?というか似てる?)
「お嬢様、シャンプーってどういうものを
使いました?」
「青い透明なボトル」
(俺がいつも使っているやつ!?
大丈夫か!?ずっと置きっぱなしだし雑菌とか)
「すみません、失礼します」
すぐに母に確認すると今日のために昨日買ってきたものだと聞いて胸を撫で下ろす。
「そういえば陽の理想の結婚相手ってどんな人」
「け、結婚!?
い、いきなりどうしたんですか?」
聞いた事に対して陽はひどく動揺している。
「さっき、お母さんから言われたでしょ?
お嫁さんがって。陽の理想ってどんな
人なのかなって」
「理想、ですか。」
少し悩んで真っ直ぐに私を見る。
「人、というより俺はたまに一緒に料理したり
買い物したりする。
毎日挨拶や言葉を交わす。
そんな対等な生活をする事が理想です」
「・・・なんか普通だね」
「それでもこれが俺の理想なんです」
「そっか、叶うといいね」
「・・・はい」
陽は寂しそうに笑う。
客間に敷かれた布団で眠り、
「またいつでも来てね。渚ちゃん」
「はい、お世話になりました」
「陽くんも風邪ひかないようにね」
「わかってるよ」
家族全員でお見送りしてくれ陽と一緒に家に帰った。


