ズキズキと頭が痛む感覚で目が覚めた。
見慣れた部屋の天井。
聞こえるはずのない微かな寝息。
隣を見ると渚が眠っていた。
(そうか、夢か。こうなりたいという夢)
再び目を閉じる。

(いや、おかしいでしょ!)
目を開けて起き上がると思考が止まる。
(え、裸?いやズボンは穿いてる。
いやそれにしてもなんで上裸?
だめだ、全然思い出せない。)

「寒い」
渚の小さな声に隣を見ると下着姿で血の気が引く。
直ちにベットから降りて毛布をかけタンスから適当に
シャツを引っ張り出して着る。

(もしかして一線超えた?
確か昨日は家まで遠いから飲むのはお茶だけで
同窓会から帰ってきて渚と成人したからって
祝杯をあげて。・・・だめだその後思い出せない。

もしかして・・・酒の勢いで無理やり!?
最低だ!クズだ!)

2日酔いの頭痛が吹っ飛んで最悪なことばかり頭の中を支配していく。
「陽」
体を起こして目を擦りあくびをする渚。
タンスから一番上にあったパーカー渡す。

「今更?」
「今更でもなんでもいいから!!」
しぶしぶ着ると
「彼シャツみたいだね」
とニヤニヤ煽ってくる。

怒り、恥ずかしさが混ざり黙るしかない俺を他所に
ベット脇のスイッチで暖房を入れて電気をつける。
まだ眠そうな渚の前で土下座、

「え、なに、どうしたの?」
「ごめん、昨日渚とお酒を飲んだあとから記憶がなくて教えて欲しい。償いはなんでもする」
「え、重いよ。いろんな意味で」
確実に引いている顔が脳裏に浮かぶ。
「大変だったよ」

渚が用意したお酒。
アルコール度数が低いものばかりだったがペースはゆっくりだけど量が多かったらしい。

最初は可愛い、大好き、いつもありがとうと
ニコニコしていた。
急にニヤッと笑ったと思ったらお姫様抱っこで
ベットに運びそこでも愛を囁いて、服を脱がして
至る所にキスをした。
色々なところに触れて渚の反応を楽しんでいた。
しばらくして温もりを感じたいと俺は脱いで
渚を抱きしめて眠ったらしい。

それを聞いた俺は顔面蒼白。
(なんで忘れてんだ!そんなこと。)
「嫌だって言っても言葉だけで物欲しそうな顔して、ビンタも抵抗もしないんだから体って素直だよねって」
穴があったら入りたい。ほんとに。

「ほんとーにごめん、渚。
なんでもするから許してくれ」
(・・・はっ、これで離婚なんて言われたら
どうしよう)
「じゃあ、これからお酒はこの家だけで飲むこと」
「え、いいの?」

「陽にならイジワルされてもいいかなって」
目を逸らして呟く渚に欲が出る。
「んっ、」
首筋をツゥとなぞると可愛い声が響きそして口を覆って睨む。

「もっと欲しいって顔してるけど」
「当たり前でしょ」
そんなわけないでしょって否定すると思ったから
驚いた。

「結婚したのに全然触れてこないから。
私に魅力ないのかなって。
でも私から誘うのははしたないかなって、
陽に考えがあるのかなって思うようにして。
不安、だったんだよ」

「ごめん、渚。
こういうのは女性の方が体に負担がかかるって
ネットで見たから様子見してたんだ。」
「陽となら全部受け入れられるよ」

常夜灯にして渚を優しく押し倒しす。
「痛かったり苦しかったら言って。
焦らないから。大事なのは俺たちのペースだから」
頷く渚にキスをする。

強弱をつけたり、舌を使ったり、
それに頑張って応えようとする渚が愛しい。

温まった部屋、閉め切ったカーテン。
「大好きだよ、陽」
渚の柔らかな声に俺は囁いてパーカーの裾から手を
忍ばせる。
「骨の髄まで愛してるよ、渚」